論述
小児における脊椎分離症および辷り症の観察
森崎 直木
1
,
菅原 幸子
1
,
関谷 昭子
1
,
鈴木 弥重郎
1
,
大井 淑雄
1
,
菊池 久
1
,
山崎 典郎
2
,
御巫 清允
3
Naoki MORISAKI
1
1東京大学整形外科
2都立墨東病院整形外科
3虎の門病附整形外科
pp.160-166
発行日 1970年3月25日
Published Date 1970/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904373
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
ここにいう脊椎辷り症とはNewmanの第II型,すなわち,脊椎分離症に由来するものを意味し,その他の型を含まない.
脊椎分離症の原因としては古くから,1)先天性,2)後天性の種々の説が述べられている2,7,9,14,19,24,26).しかし生下時すでに関節突起間部に連続性離断が存在していたという確実な症例は報告されていないし,多数の新生児や死産児に対する検索から,このことは否定的である19).後天性説のなかには,a)外傷性,b)trophostatisch,c)dysplastischなどの諸説がある.このうち a)については1回の大きな外傷によつて関節突起間部が離断するのはきわめて稀な外傷に属するし,普通にいう脊椎分離症がこのような骨折に由来することはほとんど考えられない.b)について言えばMeyer-Burgdorfの説えるÜberlastungschädenによる関節突起間部の離断ということは,成人になつてから,年齢とともに本症の頻度が増加することが認められない19)ことなどから,不十分な説といえる.また c)現在もつとも認められている説はBrocher2)のdysplastische Theorieで,関節突起間部をはじめとする脊椎およびその近傍組織のDysplasieに加えて機械的持続外傷によるこの部の離断を生ずるとなすものである.
Copyright © 1970, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.