診療の経験から
脊椎分離症・辷り症に関する問題点
森崎 直木
1
Naoki MORISAKI
1
1東京女子医科大学整形外科学教室
pp.1117-1131
発行日 1967年11月25日
Published Date 1967/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904323
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Bonnの産婦人科医Kilian, H. F.32)が1853年,はじめてSpondylolisthesis,脊椎辷り症を命名記載し,1881年同じく産婦人科医WarschauのNeugebauer, F. L.45)は本症の原因がPars interarticularisの離断,すなわら,Spondylolysis,脊椎分離症にあることを記載した.おそらく,骨盤産道の狭少による分娩障害から,産婦人科医の注意をひいたものであろう.その後,解剖学者,人類学者,あるいはレントゲン学者の報告がつづき,整形外科医が本症に注目するようになつたのは,1920年以後のようである1)9)20)30)55)57)66)67)70).以来,今日に到るまで,多数の報告が内外の整形外科医によつてなされ,Glorieux, P.21)らBrocher, J. E. W.7),Taillard, W.63)によるすぐれた成書もみられる.
しかし,われわれが日常,腰痛などを主訴とする患者から,レ線上,しばしば発見される本症には,その発症の機転,主訴や症状と,レ線像の因果関係,ひいては治療法の点などで釈然としない多くの点を含んでいる.
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