臨床経験
小児大腿骨頸部骨折自験例
忽那 龍雄
1
1熊本大学医学部整形外科学教室
pp.211-216
発行日 1967年2月25日
Published Date 1967/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904197
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まえがき
大腿骨頸部は解剖学的内部構造が非常に強固に構築されている(Adamus Bogen)ので,骨の年令的及び病的な変化を有する場合以外は,大きな外力が加わらなければ骨折を起こさない.大腿骨頸部骨折は,RatliffによるとManchester Royal Infirmary Hospitalので12年間に7名の小児(17才以下)の本骨折がみられ,その間に約900名の成人の本骨折がみられたという.
かくのごとく,小児大腿骨頸部骨折は,成人特に老人の場合と異なり稀な骨折であると考えられる.また,一般に小児骨折が機能的あるいは解剖学的予後が良好であるのに反し,本骨折は骨頭壊死,内反股などを招き,小児の成長と共に重大な障害をきたす事が少なくない.我々は本骨折6例を経験したので,ここに報告し,比較的稀な本骨折に症例を追加し,いささか考察を加えてみたい.
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