診療の経験から
末梢神経損傷の治療—Funicular sutureについて
伊藤 鉄夫
1
,
広谷 速人
1
,
田中 三郎
1
,
後藤 欣生
1
,
田村 清
1
1京都大学医学部整形外科学教室
pp.175-184
発行日 1967年2月25日
Published Date 1967/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904194
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はじめに
末梢神経損傷の臨床は,第二次大戦における英国のSeddon.米国のWoodhallらの厖大かつ長期にわたる研究によつて著しい進歩をとげた.然し,まだ多くの解決すべき問題が残されている.Langley & Hashimoto,Sunderlandは末梢神経のfunicular topographyの研究に基づいて,末梢神経損傷に対するfunicular sutureを提唱した.教室でも,funicular sutureが末梢神経損傷の治療成績を向上させるための有力な手段であることを痛感し,これに要するmicrosurgical techniqueを開発するために,多くの実験的研究を重ね,また臨床に利用出来るような人の末梢神のfunicular topography図を作製した.さらに本法を臨床に応用し,その成績を精細に判定するために,Seddon,Woodhall,Molbergらの成績判定基準をとり入れ,これに若干の修正と補足を加えた調査様式を作製した.
本稿では,昭和39年以来行なつて来たfunicular sutureの症例に対し,われわれの調査様式に基づいてその治療成績を調査した.症例はなお少なく,また観察期間も短かいのであるが,今までの研究によつて得た成績について検討して見たいと思う.
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