臨床経験
Funicular topographyからみた遅発性尺骨神経麻痺の臨床症状
伊藤 鉄夫
1
,
田中 三郎
1
,
田村 清
1
,
後藤 欣生
1
1京都大学整形外科学教室
pp.73-76
発行日 1966年4月25日
Published Date 1966/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903724
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上肢の末梢神経損傷のうちて外傷と直接の関係なく発生する型のものに「遅発性尺骨神経麻痺」がある.本症はPanas(1878)により初めて記載され,その後Hunt(1916)によりtardy, lateあるいはdelayed paralysisと命名されたもので,反復するminor traumaによるfriction neuritisが原因と考えられている.その病因論,診断,治療についてはRichards(1945),Gay and Love(1947),Magee and Phalen(1949),Mc Gowan(1950),King and Morgan(1959)らにより古くから報告されているから今更繰り返し述べるまでもないが,本症の発生および臨床症状の進展と尺骨の神経溝における尺骨神経のfunicular topographyとの間に興味ある知見を得たので検討してみたいと思う.
症例は昭和40年5月より10月までの6ヵ月間に人院し手術をうけたものが6例あるが(第1表)その1例を示し,本症の症候群について考察する.
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