境界領域
手術時の化学療法はいつから始めるべきか—実験的骨髄炎と化学療法
林 一郎
1
,
柳橋 斉
2
Ichiro HAYASHI
1
1都立広尾病院整形外科
2水戸日赤病院整形外科
pp.946-950
発行日 1969年12月25日
Published Date 1969/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904164
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骨の手術のときに,感染予防のために化学療法剤を投与すべきかどうかということは,いろいろと議諭されてきた.理論はともかくとして,実地の臨床家の立場では,化学療法を行なわないよりは,行なつたほうが安心できるという主張がある.また一方では,化学療法を行なつても感染の予防には役立たないという主張もある1,2),無差別的に手術症例を二つに分けて,ひとつの群には化学療法を行ない,他のひとつの群には化学療法を行なわなかつたところ,むしろ化学療法を行なつた群に多くの感染が生じたとする統計も発表されている2,3).化学療法が手術創の感染予防に役立つかどうかの問題は,いまだ解決されない問題であつて,これからの解明を要するものである4).
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