シンポジウム 内反足
内反足治療の問題点
柏木 大治
1,2
,
藤井 英夫
1,2
Daiji KASHIWAGI
1,2
1神戸大学医学部整形外科学教室
2兵庫県立のじぎく園
pp.774-782
発行日 1968年9月25日
Published Date 1968/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903972
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はじめに
先天性内反足は整形外科の先天性疾患中,先天性股関節脱臼に次いで発生頻度が高く,治療が困難で,かつ難治性の症例が多い点で整形外科医にとつて極めて重要な疾患である.本疾患の治療が大変難かしいのは他の先天性諸疾患と同様,それらの原因が未だ明らかでないことや,治療の出発点が各症例により著しく異なつている点などによる.すなわち,足部変形の形態ははなはだ類似していても,変形の要素や,その程度が各症例によつて多種多様であり,たとえ,早期に治療を開始した症例でも,その開始時の僅かの月齢の差は足根骨の変形や矯正能の程度を著しく左右するものである.それ故に,本症の治療に当つては医師はその外観的な変形の共通性にとらわれることなく,各々の症例に対して全く独自の態度で当ることが重要である.
内反足の病因論や,治療については古くはHippocrates(400 B. C.)よりBrowneや,Kiteに至るまで種々論議されてきたが,変形の解剖学的な原因が後足部に存在する点については諸家の一致した意見となつてはいるが,その具体的な治療法に関する意見は必ずしも同じではない。しかしながら,近年に至つてKite法が漸次一般化され,諸外国は言うに及ぼず,本邦においても彼の理論的な治療大系と,その成績は諸家により高く評価されるところとなつた.
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