臨床経験
ポリオ下肢麻痺に対する足関節固定術—(特に歩行時の膝関節の安定を考慮した尖足位固定について)
松尾 隆
1
Takashi MATSUO
1
1九州大学整形外科学教室
pp.465-468
発行日 1968年5月25日
Published Date 1968/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903925
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はじめに
ポリオ下肢麻痺患者の治療の目的は変形拘縮の除去,麻痺関節の機能の再獲得などを行なう観血的方法や装具,松葉杖などの歩行補助器具を用い,いかにして歩行能力の増大をはかるかにつきるが,日常生活上これら歩行補助具は患者にとつてはなはだ煩わしいものであり,できうればこれら歩行補助具を使用することなく,あるいは最小限度の補助具を使用するのみで歩行が可能となるように治療の努力がはらわれることは当然である.
大腿四頭筋が麻痺して,膝関節の伸展筋力が全くない患者においても,もし体の重心線を膝関節の前方にずらし,軽い膝の反張をおこさせうれば,かなりの膝関節の安定が獲得できるのではないかということは当然考えられることである(第1,2図).
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