手術手技
椎体前方侵襲法—Ⅱ.胸椎に対して
池田 亀夫
1
1慶応大学整形外科
pp.181-187
発行日 1966年5月25日
Published Date 1966/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903741
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胸椎に対して
側臥位ないし半側臥位にて対側に枕をおき,手術側を伸張させて施行する.骨移植による脊柱固定術を行なうことが多い関係から原則として肋骨切除,開胸する.胸膜内または胸膜外(胸内筋膜下)で剥離を進めて,椎体に達する.胸椎カリエスなどで胸膜癒着の存するときは胸膜外開胸術が,出血は多少増すが良く,最近は寧ろ好んで行なつている.右側侵襲は心臓に与える影響が小で,視野が広いが,ときに脊椎カリエスなどにおいて右縦胸静脈が膿瘍壁と癒着している場合にはこれを損傷する危険がある.一方左側侵襲は胸大動脈が手術遂行上好筒の示標となり,肋間動脈を捕捉し易い,などの優点をそれぞれ有するが,術後開胸による呼吸障害や残存呼吸能の良否をまず考慮,検討して侵襲側を決定することが何よりも肝要である.
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