誌上シンポジウム リバース型人工肩関節手術でわかったこと
緒言
高岸 憲二
1
Kenji TAKAGISHI
1
1サンピエール病院整形外科
pp.112
発行日 2017年2月25日
Published Date 2017/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200739
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平成26年(2014年)4月から本邦で使用が許可されたリバース型人工肩関節(RSA)は,関節側のコンポーネントが凸で,上腕骨側のコンポーネントが凹の構造をしており,腱板機能が喪失した肩関節であっても挙上が可能である.バイオメカニカルな見地からみた本人工関節の特徴として,半拘束型であることによる求心性の獲得ならびに骨頭回転中心が内方化され,三角筋の筋長が増加することによる外転筋力の増強が挙げられる.
この誌上シンポジウムでは,RSAを数多く経験している肩関節外科医の先生方に執筆をお願いした.玉井和哉先生はRSAの適応とされている腱板断裂性関節症,広範囲腱板断裂,リウマチ肩,上腕骨近位端3パート,4パート骨折などの病態について,RSAに代わり得る治療法を検討していただいた.櫻井真先生は手術時には三角筋を損傷しないことおよび適切な位置にグレノスフィアを設置することが重要であり,後療法として人工関節を脱臼させないこと,修復した肩甲下筋腱が癒合するまでは愛護的に扱うこと,肩関節の可動域・機能を改善・維持させるため三角筋や肩甲骨周囲筋群の強化訓練が重要と述べておられる.水野直子先生は日本で行われた最初の65例の術後6カ月以内の早期合併症を調べ,発生率は6.2%であったことを報告されている.菅谷啓之先生,山門浩太郎先生,橋口宏先生はそれぞれ現在日本で使用されている3機種のRSA,AequalisTM Reversed Shoulder,SMRリバース型人工肩関節,Trabecular Metal Reverse Shoulder System, についてその特徴などについて報告されている.
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