誌上シンポジウム 検診からわかる整形外科疾患
緒言
高岸 憲二
1
1群馬大学大学院医学系研究科医科学専攻器官機能制御学整形外科学
pp.848
発行日 2014年10月25日
Published Date 2014/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200001
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厚生労働省が行っている国民基礎調査によると,日本国民が悩んでいる症状トップ5には運動器の症状である「腰痛」,「肩こり」および「手足が痛む」が男性,女性ともに入っている.これらの患者は主に整形外科医が治療しているが,病院もしくは診療所に来院しない患者についてはどのような経過をたどっているのか知ることはできない.また,各整形外科疾患のnatural historyについては疫学調査が十分でないために不明なことも多い.
腱板断裂を例にとると,私が大学を卒業したころ,腱板断裂は肩への外傷後に発症して肩痛ならびに挙上障害が起こる,二腱以上の腱板断裂に対しては腱板修復術を行うと記載されていた.しかし,肩関節造影で腱板断裂が認められても疼痛は軽減して再び挙上が可能となる患者や,以前から腱板断裂があるにもかかわらず,さほど日常生活に支障を来していない患者も外来で経験する.
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