Japanese
English
臨床経験
遠位橈尺関節変形性関節症に続発した尺側滑液鞘の水腫により発症した手根管症候群の1例
A Case Report of Carpal Tunnel Syndrome Secondary to Ulnar Bursa Distention Caused by Ulnar Subluxation of the Distal Radioulnar Joint
三谷 誠
1
,
金村 在哲
1
,
冨田 佳孝
1
,
日野 高睦
1
,
松原 伸明
1
,
原田 俊彦
1
,
西川 哲夫
2
Makoto Mitani
1
1兵庫県立加古川病院整形外科
2神戸大学医学部整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Hyogo Prefectural Kakogawa Hospital
キーワード:
carpal tunnel syndrome
,
手根管症候群
,
distal radioulnar joint
,
遠位橈尺関節
,
ulnar bursa
,
尺側滑液鞘
Keyword:
carpal tunnel syndrome
,
手根管症候群
,
distal radioulnar joint
,
遠位橈尺関節
,
ulnar bursa
,
尺側滑液鞘
pp.1131-1135
発行日 2000年9月25日
Published Date 2000/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903091
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抄録:きわめて稀な原因で発症した手根管症候群の1例を経験した.症例は84歳女性.右手指のしびれ感と手関節掌側の疼痛と腫脹で発症した.X線像では手関節の関節症性変化,橈骨遠位端の背屈変形,尺骨のplus variantを認めた.CT,MRIなどの画像所見では,回外時尺骨頭の掌側への亜脱臼と尺側滑液鞘の水腫の貯留を認めた.術中所見では,遠位橈尺関節掌側に漿液を含んだ尺側滑液鞘を認め,それにより正中神経は圧排され横手根靱帯部入口部で絞扼されていた.遠位橈尺関節掌側の関節包に断裂が存在し,前腕を回外すると尺骨頭に形成された骨棘がその断裂部より露出し,そこで尺側滑液鞘と手関節腔は交通していた.以上より,本症例では橈骨遠位端骨折変形治癒により,回外時に骨棘を伴った尺骨頭が掌側亜脱臼することにより関節包を破り,尺側滑液鞘と関節が交通し,その結果として,滑液鞘に漿液が貯留して手根管症候群に至ったものと考えられた.
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