書評
―高倉義典・山本晴康・木下光雄 編―足部診療ハンドブック
豊島 良太
1
1烏取大学整形外科
pp.769
発行日 2000年6月25日
Published Date 2000/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903015
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霊長類が二足歩行を獲得した進化の過程で,四肢関節の形態は機能的要請に応じて変化してきた.そして,足部は大地との柔軟な接触ができる形態に,足関節は大きな荷重を支持できる安定した形に変わってきた.したがって,足部や足関節の傷害はいかに軽症であっても歩行障害という重大な機能障害をもたらすものである.それにもかかわらず、本邦においては,足の疾患は患者さんのみならず医師からも若干軽視されてきたきらいがある.「足掻き(あがき)」,「足を洗う」,「足切り」,「足軽」,「足蹴」など「足」の語感に由来するものであろうか,それとも靴の歴史が浅いためであろうか.いずれにしても,今日スポーツ人口の増加や外観のみにとらわれた多様な履物の出現に伴い,足部・足関節の傷害は増加の傾向にある.こうした状況の下に,「足部診療ハンドブック」が刊行されたことは誠に時宜を得たもので,喜ばしい限りである.
さて,内容であるが,本書は高倉義典(奈良県立医科大学助教授),山本晴康(愛媛大学教授),木下光雄(大阪医科大学助教授)の足のエキスパート3氏による編集で,現在日本足の外科学会で活躍中の58人の諸氏により分担執筆されている.構成は,「総論」,「小児・思春期編」・「成人編」の3章からなり,本文415頁に図表520点が呈示されている.
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