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手術手技 私のくふう
胸髄損傷後の𫞬性麻痺患者に生じた腰椎側弯変形の1治験例―くも膜下フェノール・ブロックの応用
Treatment of Paralytic Lumbar Scoliosis after Thoracic Cord Injury Using Subarachnoid Phenol Block : A Case Report
尾鷲 和也
1
,
林 雅弘
1
,
伊藤 友一
1
,
大島 義彦
1
Kazuya Owashi
1
1山形大学医学部整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Yamagata University School of Medicine
キーワード:
subarachnoid phenol block
,
くも膜下フェノール・ブロック
,
spasticity
,
𫞬性
,
lumbar scoliosis
,
腰椎側弯症
Keyword:
subarachnoid phenol block
,
くも膜下フェノール・ブロック
,
spasticity
,
𫞬性
,
lumbar scoliosis
,
腰椎側弯症
pp.681-684
発行日 1997年6月25日
Published Date 1997/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408902186
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抄録:症例は36歳男性.25歳時に第9胸椎脱臼骨折で,T10以下の完全麻痺となった.10年後,腰椎側弯変形と左坐骨部褥瘡を訴えて当科を受診した.左凸L2-5,32°の側弯がみられ,L4-5の変性が著しく,臨床および筋電図学的に右体幹・下肢の𫞬性が優位であった.腰椎可動性をできるだけ残し側弯を矯正する方法を模索し,透視下にイソビストと10%フェノール・グリセリン混和液によるくも膜下ブロックを行い,損傷レベル以下の右側の神経根を遮断して𫞬性を除去し,構築的側弯を呈しているL4-5間のみをSteffee法で矯正固定した.1年半で𫞬性の再発を認めたが,5年たった現在もその程度は比較的軽く,腰椎に側弯を認めず,褥瘡もなく経過良好である.本ブロックの歴史は欧米では古いが,本邦での𫞬性麻痺に対する報告はなく普及度は不明である,簡便,非侵襲的であり,𫞬性が障害になっている完全麻痺例一般にも広く試みられてよいと考える.
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