整形外科英語ア・ラ・カルト・44
比較的よく使う整形外科用語・その11
木村 專太郎
1
Sentaro Kimura
1
1那珂川病院
pp.724-725
発行日 1996年6月25日
Published Date 1996/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408901926
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●DRG(ディ・アー・ジィ)
これは直接整形外科の診療には関係ないが,ここ十数年前から米国で実施されている医療改革,“diagnosis-related groups”の略語であり,日本語では“診断関連群”と訳されている.これは医療費増大による財政圧迫に苦しんだ米国政府が,その抑制策の“切り札”として導入した方式である.この方式の原形はすでに1970年代にエール大学で研究されたもので,その土台は320の代表的な病院における病歴約40万件を整理したのち,12万の診断名を拾い上げ,1万4千の保険支払い基準をもとに,器官別に23の基本診断群を決め,それをさらに467に分類したものを“diagnosis-related groups”とした.この中には主要診断名と4つまでの合併症の診断名,主要手術法,患者の年齢と性別,そして退院状況を参考にすることが出来る.これらの診断名に関連して,各診療分野に細かく設定した償還額を支払う方式である.実際に患者のケアにかかったコストには関係ないために,必然的に入院期間は短くなり,コストを制限する.
まず“DRG”は連邦政府の直轄事業であるメディケア(Medicare)の患者の費用の支払いに採用された.メディケアとは65歳以上の老人医療保険のことである.ご存じのように,米国では開業医は自分のオフィス(診療所)で外来患者を診察し,オープン式の病院に出入りして,その病院に患者を入院させて治療する.
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