視座
大腿骨頸部骨折の分類
那須 亨二
1
1川崎医科大学川崎病院整形外科
pp.547
発行日 1992年5月25日
Published Date 1992/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408900846
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臨床医にとって骨折の分類は系統的かつ簡明で,具体的な治療指針を与え,出来れば予後をも示すものが望ましい.系統的大局的に見ると,大腿骨頸部骨折の主流は,老人性または閉経性の骨萎縮を基盤とし,転ぶなどの些細な外傷で高齢者に多発する老人骨折である.典型的なものは,包内では必ず骨頭下骨折,包外では転子間骨折としてみられる.その他のレベルの頸中間,頸基部,転子下などの骨折は,すべて大きな外力で青壮年者に発生する比較的数の少ない骨折である.
まず,この老人型と青壮年型の両者を区別することにより,大腿骨上端部骨折の分類をより系統的にしうると同時に,大切な老人骨折の分類を簡明かつ純粋化することができる.もちろん,青壮年者にも骨頭下骨折,転子間骨折が見られるが,年齢とか骨折型により容易に区別しうる.また逆に,老人でも特に男性の場合,青壮年に準じた骨折を生じうるが,これらは非典型的老人型として分類する.包内の典型的老人型骨頭下骨折に対してはGarden分類は優れており,修正の必要はない.
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