Japanese
English
臨床経験
肘関節離散状脱臼の1例
Divergent Dislocation of the Elbow: A Case Report
太田 元
1
,
大溪 紀男
1
,
荒木 聰
1
,
渡辺 健太郎
1
Hajime Ota
1
1加茂病院整形外科
1Department of Orthopedic Surgery, Kamo Hospital
キーワード:
肘関節
,
elbow joint
,
離散状脱臼
,
divergent dislocation
Keyword:
肘関節
,
elbow joint
,
離散状脱臼
,
divergent dislocation
pp.319-321
発行日 1991年3月25日
Published Date 1991/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408900313
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抄録:小児肘関節離散状脱臼の1例を経験したので報告する.本脱臼は,divergent dislocationと呼ばれ,肘関節損傷の中では極めて稀である.過去の報告例の中で明確なX線像を提示しているのは,1981年DeLeeの報告以来4例しかなく,今回渉猟した範囲では,本邦での報告例は見られない.1890年Stimsonは,本脱臼を,antero-posterior typeとlateral typeに分類している.しかし,我々の症例やX線像を提示している過去の報告例を検討すると,橈尺骨が同方向へ脱臼するタイプの中にも本脱臼に含まれるものがあると考えられた.そこで筆者らは,それらをpostero-posterior typeとし,Stimsonの2つの分類に追加した.治療は原則として保存的治療であり,徒手整復不能な場合や神経・血管障害を合併している場合に限り観血的治療が行われる.本脱臼は,重度の肘関節損傷にもかかわらず,早期に整復すれば予後は良好である.
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