巻頭言
第5回日本整形外科学会基礎学術集会開催するにあたって
廣畑 和志
1
1神戸大学医学部整形外科
pp.795-796
発行日 1990年7月25日
Published Date 1990/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408900142
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昭和48年,当時整形外科の基礎的研究の最先端を担う有志が名古屋に集まって,世話人会が構成され“整形外科基礎を語る会”が開かれた.その後は年とともに全国規模の研究会へと発展したのである.紆余曲折はあったが,これを継承して昭和61年に日本整形外科学会基礎学術集会が赤星会長のご努力で発足し,本年で5回を数えることになった.今では1万5千名に近い会員を擁する日本整形外科学会の基礎科学部門の振興と医学知識の発展に寄与する学会に至ったのである.
整形外科のbasic researchは治療学優先の道を選んだためか,他学会の後塵を拝した感がないとはいえない.これを物語る如く,基礎分野で突出する関連領域の癌治療学会,炎症学会,化学療法学会などの会員や参加者は極めて少ないのである.これにはそれなりの理由があると思われる.かつては外科の中の一つのdivisionとして周囲から扱われる中で,先賢達が真の整形外科学を確立するため精進努力したための歪かも知れない.その過程では,地味な基礎研究より華やかな“メス”を取る道が選ばれたとしても不思議ではない.
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