巻頭言
第59回日本整形外科学会学術集会開催に当って
泉田 重雄
1
1慶應義塾大学整形外科
pp.1-2
発行日 1986年1月25日
Published Date 1986/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408907321
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日本整形外科学会会員数は本年度を以て1万2千人に達するものと思われる.単一学科の学会として,本学会程に急速に大きく成長した学会は他に余り例がないのではなかろうか.それにつけても,恩師岩原寅猪名誉教授が日本整形外科学会会長として,本学会を主催されたのは昭和25年のことであった.当時未だ若手の駆出し整形外科医であった私も教室の諸先輩の驥尾に付して雑用に走り回ったのである.因に当時の整形外科学会は会員総数1113名,評議常定数は明らかでないが評議員会出席者67名,年会費500円であった.又,学術集会は演題数は,宿題報告2題,一般演題90題で,一会場で3日間にわたって行われた.その会場は現在もある慶大医学部の北里記念医学図書館講堂で椅子席466であった.現今会員数は当時の10倍余り,而も当時会員の半数は外科の先生方であったことを考慮すれば,真に隔世の感がある.実際に当時行った調査で日本全国で整形外科医の数は500名をいくらも越えず,一人の整形外科医もいない県がいくつかあったのである.更に又,形成外科やリハビリテーション等の全部とは言えないまでも相当部分が整形外科から発展的に分離独立して行ったことを考えると一層その感が深い.しかし,学会の巨大化に伴って又多くの難しい問題を生じて来たことも事実であって,一面避け難いことでもある.例えば学術集会一つをとって見ても学会員の増加,学会のマンモス化は当然学術講演演題数の増加を招く.学会会期の延長は簡単に行い難いので,学会場の増加と講演・討論時間の短縮を招くことになり,このことは一般会員の講演視聴を抑制して学会出席の利得を削減することになる.
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