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指尖部切断は整形外科医であれば,遭遇する機会の多い外傷である.昨今のDIYブームもあり,指切断全体に占める頻度は増加傾向のように感じる.治療方針は損傷形態や本人の社会的背景などを考慮しながら決めていく必要があるが,保存治療,断端形成,再接着,皮弁形成,足趾移植など多岐にわたる.指尖部切断に詳しい手外科専門医であれば迅速な診断と意思決定がなされるであろうが,一般整形外科医には難しいことも多い.一方,私を含めた実際の治療に従事する医師は少しでも成績を向上させるためのコツやテクニックを知りたい.そこで,今回の特集では指尖部切断の初療を行う可能性のある一般整形外科医から実際の手術加療を行う医師まで幅広く役立つ内容となることを目指した.
林 悠太先生には初療時の対応について,専門施設に緊急搬送できない場合の対処方法など一般的にはあまり語られていない内容について触れていただいた.長谷川健二郎先生には自施設で施行されている指尖部切断の保存療法をご紹介いただいた.整容と機能を意識した手技であり大変興味深い内容である.実際の手術治療に関しては,再接着と皮弁の適応と実際について松井裕帝先生,河村健二先生,宇佐美 聡先生,日比野直仁先生,太田英之先生,山内大輔先生,金城養典先生に執筆いただいた.特に血管の探し方から縫合前までのセッティング,使用する器具や縫合時のポイント,術後管理に至る細かいコツやテクニックに配慮いただいた.第一線でご活躍されている先生方のこだわりが垣間見え,実践書として役立つ内容が満載である.最後に形成外科医である石河利広先生と松末武雄先生には指尖部損傷の中でも爪を含めたきれいな指をつくることへのこだわりを執筆いただいた.手は顔についで人目に曝される部位であり,整容を意識した再建について,本特集に必ず組み込みたかった内容である.大変わかりやすくまとめていただいており,整形外科医には一読していただきたい.
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