境界領域/知っておきたい
整形外科領域における輸血
藤原 慎一郎
1
Shinichiro FUJIWARA
1
1自治医科大学附属病院輸血・細胞移植部
pp.1048-1050
発行日 2024年8月25日
Published Date 2024/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408203084
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赤血球輸血の適応となる基準(トリガー値)
赤血球輸血は貧血(出血)に伴う組織への酸素供給を改善させる手段として周術期医療に欠かせない支持療法である.しかし,赤血球製剤を含む血液製剤は人の血液から作りだされる製剤であり,血液製剤は限りある医療資源であることや輸血のリスクを完全に排除できないことから,適切な使用が望まれている.
適切な輸血が実施されているかを判断する具体的な指標として,血中ヘモグロビン(Hb)濃度によるトリガー値(この値を下回ったら輸血を実施する)が設定されている.このトリガー値の設定に関して,以前より2つの異なる輸血戦略がとられてきた.1つは自由輸血(liberal transfusion)と称しトリガー値をHb 9〜10g/dLとした,閾値をゆるめた輸血戦略であり,もう1つは制限輸血(restrictive transfusion)と称しトリガー値Hb 7〜8g/dLと閾値を低く制限した輸血戦略である(図1).
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