Laboratory Practice 〈輸血〉
産科領域における自己血輸血の有用性
藤田 浩
1
1東京都立墨東病院輸血科
pp.42-45
発行日 2013年1月1日
Published Date 2013/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103817
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
産科領域における輸血
1.産科危機的出血への対応ガイドライン
産科疾患での手術における出血の特徴は,大量となり,高度な凝固障害〔産科DIC(disseminated intravascular coagulation)〕を伴う可能性が高いことである.そのため,危機的出血となることが多く,2010年日本産科婦人科学会および関連4団体は,産科危機的出血への対応ガイドラインを公表した1).そのなかで,貯血式自己血輸血の重要性を指摘し,大量出血の可能性がある産科疾患に対して自己血輸血を推進するフローチャートを発表した.術前に自己血を準備していることで,万が一,輸血適応となったときに,まず自己血輸血をしながら,次の一手を打つ余裕が生じる.病院の規模によるが,輸血用血液の院内在庫には限度があり,病院の所在地によっては血液供給体制には特殊な事情がある場合もある.また,少なくとも,自己血輸血は同種血使用を削減する効果を認め,その報告もある2).そのため,産科領域で自己血輸血を推進することは有用と思われる.産科,麻酔科医師は,地理的時間的余裕を鑑みながら,大量出血死のリスクを検証し,対応している.その対応は,日本麻酔科学会と日本輸血・細胞治療学会が発表した危機的出血への対応ガイドラインを参考に行う3).
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.