特集 知っておきたい足関節周囲骨折の新展開
緒言
原口 直樹
1
Naoki HARAGUCHI
1
1聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院整形外科
pp.5
発行日 2022年1月25日
Published Date 2022/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408202222
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足関節は,股関節や膝関節と比較して接触面積が小さいために単位面積あたりの荷重量が大きく,骨折のわずかな転位が早期の関節症性変化につながります.正確な整復と強固な内固定が必要ですが,足関節周囲は軟部組織に乏しく,軟部組織関連の合併症と常に背中合わせです.このため低侵襲かつ強固な固定という相矛盾する手術手技が求められています.
足関節周囲の骨折では近年,解剖学的,生体力学的基礎的研究が進み,さらには骨折の形態に関する知見が集積されています.これらに裏付けられた手術適応・手術手技に関する考え方が変化し,また種々の新規固定材料が開発されています.足関節は骨性要素だけでなく靱帯・骨間膜がその安定性に大きな役割を果たし,単純な骨折の背景にはこれらの損傷も考慮に入れる必要があるため,医学研究の対象としても興味が尽きません.
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