誌上シンポジウム 整形外科を牽引する女性医師たち—男女共同参画
手外科医として—楽しく毎日を
堀井 恵美子
1
Emiko HORII
1
1関西医科大学整形外科
pp.449-450
発行日 2019年5月25日
Published Date 2019/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408201353
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大学時代に指導を受けた先生の奥様の「卒業したら,女医は3倍働かないと認められない」という一言を,卒後40年たった今も忘れることはない.当時は女子医学生10%の時代だったから,ずっと男性の中で実習も部活も行ってきた.女性整形外科医は稀有の時代だったから,どこへ行っても女性1人は続いたが,違和感なく過ごしてきた.整形外科の仕事が好きだったので,長時間業務も気にならず,無我夢中で楽しく日常診療を行ってきた.
研修医以降のキャリアの形成には,指導医の役割が重要である.卒業時点では男性医師と同じスタートラインに立っているが,まず,科を選択するにあたって,好き・嫌いよりも,“体力的にどうか?”,“出産・育児を乗り越えられるか”などを考慮せざるを得ない.特に外科系を選択しようとすると,これらの不安材料は足かせとなる.キャリアと家庭を両立できるかどうかは,家族の支援と,社会の理解と,そしてなによりも指導医(上司)の理解が不可欠である.私の時代は一般的にはそれらを期待できず,恵まれた環境にいる人とスーパーウーマンだけがそれを享受できた.実際,大学時代の同期(女性)の中で,育児経験者は半数以下で,厳しい環境であったことがうかがえる.
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