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はじめに
2003年にGanzら1)が初めて体系的に提唱したfemoroacetabular impingement(FAI)の概念において,“The radiographs often appear normal at first”と記載されているように,単純X線像では一見大きな異常所見を認めないことが1つの特徴であり,その診断を困難にする最も大きな要因といえる.一方で明らかな形態的なFAI所見を有するにもかかわらず無症候な例も多く,その診断には臨床症状,理学所見,画像所見の3つを統合することが必要となる2).画像診断として,単純X線像やcomputed tomography(CT)では大腿骨骨頭頚部移行部の骨性隆起(cam形態)や寛骨臼の過剰被覆(pincer形態)などの形態学的情報が得られ,さらにmagnetic resonance imaging(MRI)では関節唇などの軟部組織の損傷状態およびその質的情報も得ることが可能である.
しかし,従来用いられてきた画像診断では形態学的変化や質的変化が生じる以前の,より早期の異常を捉えることは困難であり,特にFAIにおける重要な病態の1つである骨性インピンジメント部位を同定するには不十分である.近年,細胞レベルでの代謝活動を画像化する機能的画像診断であるsingle photo emission computed tomography(SPECT)やpositron emission tomography(PET)などの核医学検査を用いてFAI症例を評価した報告が散見される.
本稿ではわれわれが試みてきた18F-fluoride PET/CTによるFAIの病態評価に関する研究と最新知見について論述する.
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