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近年,椎体間に側方進入し,従来よりも大きなケージを挿入して固定を行う,いわゆるLIFが盛んに行われるようになった.X線透視(イメージ)を頼りに椎体間に進入し,その間隔を拡大しつつ固定を行う方法である.この方法によって神経組織を操作することなく神経要素の間接除圧を行える.その手術手技に習熟すれば,対象患者に対して大きな福音をもたらすことは必定である.また,一方では,前方手技に慣れていないと思われる術者による大きな合併症も報告されている.イメージには骨性成分しか撮像されないが,その経路には腸管や尿管,大血管,大腰筋内の神経要素などが存在することを十分に認識・理解しなければならない.筆者らの世代は,先輩の先生方が施行される開放手術(オープン)での腰椎前方固定術に何度も立ち会って経験を積ませていただいた.筆者自身も,後腹膜進入で内視鏡下に腰椎に側方進入し,椎体間固定を施行していた.内視鏡下に進入すると,尿管や大血管などはよく観察でき,操作中にもその辺縁が操作部に入ってくることがあることも,よく理解している.前述のような理由から,本方法を施行するに当たっては,その解剖や手術手技のポイント,合併症を未然に防ぐ方法などを記載した書物がぜひとも必要であると,以前から感じていた.
このようなタイミングで登場したのが本書である.内容を拝見すると,まず本術式を施行するに当たって理解しなければならない解剖が詳細に記載されている.これから本手術手技を開始しようとされている若手医師の方には,この章を熟読することをお勧めしたい.次に前弯獲得,間接除圧のメカニズム,本術式の適応が記載されており,手術手技の実際についてはOLIF,XLIF®に分けて詳細な記述がなされている.さらに特筆すべきは,何らかの問題が生じた場合のトラブルシューティングが実現場で役立つように事細かに記載されており,目を通しておくべきことが必須となる章であろう.
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