連載 慢性疼痛の治療戦略 治療法確立を目指して・13
—ガイドラインを考慮した治療—骨粗鬆に伴う疼痛
折田 純久
1
,
稲毛 一秀
1
,
鈴木 都
1
,
大鳥 精司
1
Sumihisa ORITA
1
,
Kazuhide INAGE
1
,
Miyako SUZUKI
1
,
Seiji OHTORI
1
1千葉大学大学院医学研究院整形外科学
pp.900-904
発行日 2017年9月25日
Published Date 2017/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200913
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骨粗鬆症と痛み
骨粗鬆症患者における痛みには,骨折などの外傷に伴うものと骨粗鬆自体そのものがもたらす痛み(骨粗鬆性疼痛)があり(図1),破骨細胞の活性化や疼痛感受性の亢進が一因と考えられている.また,臨床における高齢者の急性腰痛の8割近くにMRI上の骨髄輝度変化がみられ,骨傷の潜在的な存在の可能性が示唆されるなど1),骨粗鬆症に関連する痛みには不明な点も多い.骨折などの外傷性の疼痛に対しては一般的な消炎鎮痛薬が用いられるが,骨粗鬆性疼痛についてはすべての機序はいまだ研究途上にあるためその薬物治療効果は完全に明らかにはなっていないが,骨粗鬆症薬による骨吸収抑制・骨形成促進を中心とした骨環境の整備が鎮痛効果につながるものと認識されている.
本稿では運動器慢性疼痛の一因となりうる骨粗鬆性疼痛の機序について最新の知見を概観し,薬物療法の効果と可能性について述べる.
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