Japanese
English
症例報告
両側同時発生の上腕骨近位端骨折患者において,振り子運動可能な肩装具が手術後の固定とリハビリテーションに有用であった1例
New Orthosis Enabling Early Pendulum Exercise Following Bilateral Proximal Humeral Fracture Surgery : Case Report
中光 紳一
1
,
永淵 慎一郎
1
,
牛島 正博
1
,
中野 浩志
2
,
坂井 伸朗
3
Shin-ichi NAKAMITSU
1
,
Shin-ichiro NAGAFUCHI
1
,
Masahiro USHIJIMA
1
,
Hiroshi NAKANO
2
,
Nobuo SAKAI
3
1三萩野病院整形外科
2三萩野病院リハビリテーション部
3九州工業大学先端機能システム工学
1Department of Orthopaedic Surgery, Mihagino Hospital
2Division of Rehabilitation Medicine, Mihagino Hospital
3Department of Applied Science for Integrated System Engineering, Faculty of Engineering, Kyushu Institute of Technology
キーワード:
肩装具
,
shoulder sling
,
上腕骨近位端骨折
,
proximal humeral fracture
,
コッドマン振り子運動
,
Codman's pendulum exercise
Keyword:
肩装具
,
shoulder sling
,
上腕骨近位端骨折
,
proximal humeral fracture
,
コッドマン振り子運動
,
Codman's pendulum exercise
pp.763-768
発行日 2016年8月25日
Published Date 2016/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200610
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両側同時発症の上腕骨近位端骨折患者の治療を経験し,術後の固定肢位と可動域訓練に苦慮したが,新しい肩装具を考案することで解決したので報告する.
症例は75歳女性で,夜間にトイレに行こうとして布団から立ち上がった際につまずき,壁に顔から激突し転倒した.左右とも外科頚・大結節・小結節に骨折線の入る粉砕骨折で,AO骨折分類の11-B1.1であった.両側とも髄内釘固定術を行った.術後の固定肢位は,肩では生理的基本位(屈曲0°・外転0°・内旋30°),肘は90°屈曲位とした.この体位に合わせたクロスしたストラップを持つ装具を考案した.手術翌日から装着し,食事や読書など,自由な手の使用を許可した.ストラップで肩から肘・前腕を吊るし,座位や立位姿勢で前後方向に振り子運動を行わせた.手術後の手の機能制限は少なく,装具は快適で装着性はよかった.術後8週目で,肩関節にはほとんど疼痛なく,自動で屈曲170°以上の挙上が可能となった.この装具は,上肢に対して適度の固定性と軽度の運動性を持つために,患者にとって術後の他動的可動域訓練の早期導入と快適な生活が可能であったと考える.
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