Japanese
English
誌上シンポジウム 半月変性断裂に対する治療
若年者の半月変性断裂に対する治療
Treatment for Degenerative Meniscus Tears in Young Patients
中田 研
1
,
前 達雄
2
,
武 靖浩
1
,
下村 和範
1
,
橘 優太
2
,
横井 裕之
1
,
大堀 智毅
2
,
花井 達広
1
Ken NAKATA
1
,
Tatsuo MAE
2
,
Yasuhiro TAKE
1
,
Kazunori SHIMOMURA
1
,
Yuta TACHIBANA
2
,
Hiroyuki YOKOI
1
,
Tomoki OHHORI
2
,
Tatsuhiro HANAI
1
1大阪大学大学院医学系研究科健康スポーツ科学講座(スポーツ医学)
2大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学(整形外科)
1Medicine for Sports and Performing Arts, Department of Health and Sports Science, Graduate School of Medicine, Osaka University
2Department of Orthopaedic Surgery, Graduate School of Medicine, Osaka University
キーワード:
半月変性断裂
,
degenerative meniscus tear
,
若年者
,
juvenile or young adult
Keyword:
半月変性断裂
,
degenerative meniscus tear
,
若年者
,
juvenile or young adult
pp.239-246
発行日 2016年3月25日
Published Date 2016/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200486
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若年者半月変性断裂の病態
半月は,膝関節内の線維軟骨で,荷重分散,衝撃吸収,滑動,安定性など生体力学的に重要な機能を担う運動器官であり,コラーゲン線維とプロテオグリカンの豊富な細胞外マトリックスを持ち,この細胞外マトリックスが粘弾性体としての力学的特性を持っている.半月損傷は,1回の大きな外力により断裂する場合と,繰り返す比較的小さい外力により損傷を来す場合があるが,変性断裂は繰り返す比較的小さい外力による損傷と考えられている.繰り返す荷重や剪断力の力学的ストレスにより,半月の主要構成成分であるコラーゲン膠原線維の微小断裂や,衝撃吸収機能を果たすプロテオグリカンの減少などを来す1).
半月の変性は,加齢や微小外力により,肉眼レベル,顕微鏡レベル,分子レベルでさまざまな変化として示されている.細胞外マトリックスの膠原線維の微小断裂やプロテオグリカンの減少や増加を伴い,正常半月でみられる膠原線維の秩序だった線維走行が崩れて乱れた配列となり,細胞外マトリックスの構成,配列に異常がみられる2).さらに,これらの微小損傷に対する修復反応として炎症細胞の浸潤や半月細胞の増殖または減少がみられ,血管や神経の浸潤や増生がみられる.これらの細胞外マトリックスと細胞の分子レベル,マクロ分子レベルの変化から,組織レベルでは線維化,脂肪化,石灰化がみられる.肉眼や関節鏡視では,正常半月は表面平滑な弾力性をもつ白色の滑らかな組織であるが,変性半月は,表面のけば立ちや細かな溝やはがれなどの粗造化がみられ,硬化や軟化,膨化などとともに黄色変色などの外見上の変化がみられる.
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