特集 世界にインパクトを与えた日本の整形外科
連通多孔体人工骨の開発
名井 陽
1
1大阪大学医学部附属病院未来医療開発部未来医療センター
pp.1197-1198
発行日 2015年12月25日
Published Date 2015/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200414
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マクロ構造に着目した人工骨の開発
セラミックス人工骨は日本が誇る高品質の骨補塡材料であり,これほど多彩で高性能な人工骨が利用できる国は他にない.このような人工骨の発展の背景には,日本では同種骨バンクが米国ほどの発展をみせていないこともあったが,日本のマテリアル工学研究の高い技術力があったことによる部分が大きい.1980年代から90年代には,完全合成による製造法でさまざまな材質のバイオセラミックスが発明され,人工骨として臨床応用された.われわれは90年代の終わりに,このようなマテリアル研究のトップサイエンティストと巡り会い,また新しい医療機器開発を目指すベンチャー企業と巡り会って,材質ではなくマクロ構造に着目した新たな人工骨“ネオボーン®”を開発することに成功した.この人工骨は,優れた気孔連通性と術中の操作に適した強度を併せ持つ人工骨として,それまでの人工骨とは異なる特徴をもつ.その後,2000年代には本製品を追うようにして,構造に着目して開発,改良された種々の人工骨が上市され,これらのマクロ構造に着目した人工骨は第2世代の人工骨と言ってもよいと筆者は考えている.
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