連載 運動器のサイエンス・11
慢性疼痛増加の機序を探る
半場 道子
1
1福島県立医科大学医学部整形外科学講座
pp.138-140
発行日 2015年2月25日
Published Date 2015/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200119
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
神経障害性の慢性疼痛
慢性疼痛は発生機序の上から,侵害受容性疼痛,神経障害性疼痛,非器質性(心因性)疼痛の3つに分けられるが,第9,10回では,侵害受容性の慢性疼痛の例として変形性関節症を取り上げた.本稿では神経障害性疼痛の例として,慢性腰痛について痛みの慢性化の機序を探る試みを続けたい.
慢性疼痛は,国際疼痛学会によって「組織損傷の通常の治癒期間を過ぎても持続する,明らかな生物学的意義のない痛み」と定義され11),神経障害性疼痛は「体性感覚系に影響を与える損傷や疾患の直接的結果として生じる疼痛」と定義されている8).末梢神経が圧迫,絞扼,切断されたり,熱/化学的刺激,ウイルス感染,高血糖によって傷つけられた場合,中枢神経系が脳梗塞,脳出血,頭部外傷などにより損傷された場合,などに生ずる痛みである.
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.