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はじめに
変形性関節症(以下,OA)とくに変形性膝関節症(以下,膝OA)の保存的治療におけるいかがわしい薬物の宣伝には目に余るものがある.一部の一般用医薬品,健康食品など通信販売業のテレビや新聞への大々的な宣伝をみると,医科学的実証を何も示さず,軟骨成分物質を服用すれば軟骨の摩耗がなくなり,すべてが解決するかのように謳っている.嘆かわしい次第である.膝OA1)は変形に原因があり,それに基づく関節症であって,変形を矯正しない限り治療にならないのである.
今回,開発してきたスクリュー固定を利用した人工膝関節単顆片側置換術(unicompartment knee arthoroplasty,UKA)(Screw Uni Knee)による治療についてまとめる機会を得たので,その概要を述べる.現在一般的に行われている膝OAの手術ではないが,UKAは特異な経過をたどって発達した手術であり,それも踏まえて報告する.
本稿で述べる内側型膝OAの外科的治療として施行したUKAでは,脛骨コンポーネントをスクリュー固定する単顆型人工膝関節(Uni Compartment Knee,ナカシマメディカル社)(図1)を用いた.結論から言えば,成績は良好で,looseningは皆無であった.好成績の理由は,下肢のアライメントを良好にしたことと,および屈曲拘縮を解消したことである.この手術はreplacementというよりもrealignmentであり,屈曲拘縮が膝蓋・大腿関節(以下,PF関節)の疼痛を来すことは他の膝手術の場合と同様である.
膝内側置換術の成績を報告しても,アライメント(とくに立位のアライメント)に言及していない報告は参考とはならない.また,屈曲拘縮の残存している症例の多い報告や屈曲拘縮に言及していない報告も参考とはならない.
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