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あとがき
金谷 文則
pp.670
発行日 2014年7月25日
Published Date 2014/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408103112
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今月(2014年5月22~25日)は神戸で黒坂昌弘教授主催の第87回日本整形外科学会学術総会が開催されており,学会の合間に原稿を書いています.素晴らしい企画の学術総会であり,中でも出色はノーベル賞受賞者の山中伸弥先生の講演でした.世界に名高い科学者ですが,ご自身のことを「Pseudo整形外科医」とユーモアを加え,iPS細胞の開発とその応用についての素晴らしい講演でした.外国の資金豊富な研究所や会社に負けず,特許などの知的財産を先取してもらいたいと考えています.
本号の視座「臨床研究ノススメ」では産業医大の酒井昭典教授が,日常診療から仮説を立てそれを検証するclinical oriented reseachについて述べており,全く同感です.論述の「セメントレス人工膝関節置換術後のweekly PTH療法はbone ingrowthを促進させる」も優れた臨床研究です.半場道子先生による「運動器のサイエンス」の「運動器活動は慢性炎症を抑制する」は優れた科学講話です.「運動すると体が丈夫になる」といった根拠のない健康神話を,脂肪細胞が分泌するadipokineのほとんどが慢性炎症を促進するのに対し,筋細胞が分泌するmyokineは抗炎症作用を持ち,その分泌促進には有酸素運動が有効と,科学的に解説されています.Myokineは健康長寿の延伸にも重要と考えます.「臨床医に必要な放射線の知識Q&A」は原発再稼働差し止め判決が出たことからもup to dateな話題です.
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