--------------------
あとがき
金谷 文則
pp.398
発行日 2012年4月25日
Published Date 2012/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408102331
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
この後書きを書いている時点で,東日本大震災からちょうど1年を迎えました.昨年の3月11日は北海道のルスツで開催されていた整形外科外傷シンポジウム(EOTS)に参加しており,地震の揺れなどは全く感じませんでしたが,周囲との連絡は途絶しTVで見た津波の映像を当初はCG(computer graphics)と思ったくらいでした.EOTS参加者の多くは緊急・外傷の専門家であり,皆なんとか職場に復帰しようとしましたが,電話も繋がらず飛行機の運航状況もわからないため,その晩は全員ルスツで過ごしました.
今回の東日本大震災は,巨大地震に大津波が加わり,さらに原子力災害も加わった未曾有の災害であり,初動のある程度の遅れはやむを得ないとしても,その後の政府の後手後手の対応には,外国メディアに指摘されるまでもなく怒りと無力感を覚えました.遅まきながら,被災地の復興,がれき処理,放射能除染が始まりましたが,全くスピード感が感じられません.本年2月末に福島を訪れる機会があり,仙台空港付近のがれきの山をみるにつけ,復興には日本全体のバックアップが必要なことを痛感しました.今回の大震災で被害に遭われた皆様の一日も早い復興を祈念いたしますとともに,つぎの災害によりよく対処できるために災害の検証と対策を講じる必要があると考えます.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.