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あとがき
特集「足部・足関節疾患と外傷に対する保存療法 Evidence-based Conservative Treatment」は熊井司先生の素晴らしい企画です.足部・足関節疾患のevidenceが近年蓄積されています.足関節外側靱帯損傷の保存療法は「一般的に思われているほど治療成績がよくない」こと,新鮮例の20〜40%が陳旧例に移行すること,さらに現時点で手術療法が保存療法を上回るエビデンスもないことから,今後エビデンスを重ねて手術適応を明確にする必要があります.足底腱膜炎では各種の保存療法が評価されており,エコーの進歩による病態の解明に伴い診断や手術適応が明確になることが期待されます.扁平足には後脛骨筋腱機能不全,腓骨筋腱痙性扁平足,足根骨癒合症,足根洞症候群そして踵骨骨折後変形治癒などの様々な病態があり,病態に応じた保存療法が必要です.外反母趾に対する保存療法のエビデンスは少なく,靴の指導,インソール,母趾外転装具,テーピングについて著者の経験を踏まえて詳述されています.アキレス腱断裂では固定ブーツ装着下での早期荷重が有効であり,エコーによる断端間隙の評価が治療方針の決定に有用なことも示唆されています.外脛骨障害の原因として外傷,扁平足,オーバーユース,後脛骨筋筋力低下があり,それぞれ固定,装具,運動制限,運動療法が適応になります.Morton病,変形性足関節症についても解説されています.
最新基礎医学・知っておきたい「椎間板の微小環境」は人体最大の無欠陥組織である椎間板の形態,病態について極めて興味深いreviewであり,椎間板の研究と治療は今後の大きな発展が期待されます.連載「いまさら聞けない 英語論文の書き方」第6回「英語論文のお作法(その4) 略語は侮れない」は,若い医師が論文を書く前に是非読んでおいてください.臨床経験「下肢切断術におけるバイポーラー型パルス出力血管閉鎖装置の有用性」は外科腹腔鏡手術で用いるLigasure®を使用した下肢切断術の報告であり,Ligasure®は四肢切断術には適応になっていませんが,高リスク患者では手術時間短縮や出血量の減少が期待できます.
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