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あとがき
金谷 文則
pp.1066
発行日 2013年10月25日
Published Date 2013/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408102870
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猛暑もおさまり,朝夕は快適になりました.今夏は日本各地で35℃以上の猛暑日が連続し,四万十市で最高気温を更新(41.0℃)しました.その他にも集中豪雨とゲリラ豪雨など異常気象に見舞われ,数十年に一度の大災害に対応する特別警報も設定されました.海温上昇に伴い珊瑚の北限も更新され,回遊魚の種類も変化しています.未来のためにも地球温暖化のプロセスの解明と対策が急がれます.
本号の特集「低出力超音波パルス(LIPUS)による骨折治療」は神宮司先生の素晴らしい企画です.基礎分野ではLIPUSが骨折血腫細胞の軟骨分化と骨分化を促進し,骨分化はBMP-7の関与によりさら促進されることが報告され,これは偽関節や遷延治癒骨折に加えて新鮮骨折に対する有効性を裏付ける研究です.また骨髄血移植との併用の効果も示されました.臨床面では,鎖骨骨折で癒合までの期間の短縮,舟状骨骨折で高い骨癒合率が示されています.創傷被覆材のフィルムタイプはLIPUS治療に影響は少なく,ハイドロコロイドタイプは適さないことが示されました.多発外傷で骨折部に創傷被覆材を貼付する場合の指標になります.大腿骨近位部骨折に対するLIPUS治療は,骨癒合を促進させることにより術後の早期荷重を可能にし,入院期間を短縮することができますが,LIPUSの診療報酬算定が開始時の1回しかできないため,回復期医療機関の理解と協力が必要であり,地域連携パスの構築と活用が重要なことが示されました.
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