連載 特別講義 整形外科の歴史・7
「先天性」股関節脱臼の治療史―CDHからDDHへ
小野 啓郎
1
1大阪大学
pp.1130-1135
発行日 2013年11月25日
Published Date 2013/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408102887
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新生児~乳幼児の股関節検診ならびに啓発活動が拓いた世界
1.無脱臼地帯をつくる努力:飯野・赤林・今田から石田へ
先天性股関節脱臼の検診と早期治療により無脱臼地帯をつくろうと提唱したのは飯野・今田らの東北大学整形外科医グループ1,28-34)であった(1950~1963).「予防体制さえ確立されれば,先天性股関節脱臼の治療ということが,今日,整形外科学会で問題になっているような大問題でなくなってくる.ペルテス様変化がどうの,骨切り角度がどうの,関節形成がどうのと学会ではむしろこのへんの議論に花が咲いている現況であるが,かかる問題を汗水流して議論する前にその予防体制を整えよと言いたい……予防体制さえ確立されれば,骨頭変形などは全く症例報告的価値を有するぐらい少なくなるのではあるまいか……」34),これが当時のこのグループの意気込みであった.
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