連載 特別講義 整形外科の歴史・3
「先天性」股関節脱臼の治療史―CDHからDDHへ
小野 啓郎
1
1大阪大学
pp.709-717
発行日 2013年7月25日
Published Date 2013/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408102769
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CDHの成因研究
生れながらの脱臼と考えられた当時から,股関節の脱臼はその頻度の高いことで知られていた.内反足や筋性斜頚に比べてもはるかに多いこと,しかも血筋(遺伝)に関係し,兄弟姉妹でも女性に多いことなどの特徴があった.20世紀,先天性股関節脱臼という病名が通用する時代を迎えて,ようやく,股関節の解剖学的研究が増える.強大な関節でありながらどうして脱臼しやすいのか?といぶかしむ人も多く,そこには深い理由があると考えられた.
脱臼しやすい股関節の構造は,胎芽から胎児期へとどのように形成されていくのだろうか? これは整形外科医・小児科医にとって長年にわたる疑問であったに相違ない.
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