書評
『肩 その機能と臨床 第4版』
吉川 秀樹
1,2
1大阪大学大学院・整形外科学
2大阪大学病院
pp.875
発行日 2013年9月25日
Published Date 2013/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408102819
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整形外科医として,また人生の先輩として私淑する信原克哉先生の『肩――その機能と臨床』の初版が出版されたのは,1979年である.小生が医師になって整形外科を始めた年であり,特別に感慨深い.その後,肩関節外科を含め整形外科学は急速な発展を遂げ,本書も改訂を重ねた.2001年改訂の第3版は,“THE SHOULDER-Its Function and Clinical Aspects”として英文翻訳され,2004年,英国医学会のHighly Commended Orthopaedicsを受賞している.このたび,待望の改訂第4版が出版された.第3版以後の約10年間にわたる膨大な研究成果や文献が新たに取り入れられている.
本書の第一の特徴は,膨大な内容であるにもかかわらず信原先生の単独執筆であるという点である.先生独特の奥深い洞察,機知に富む解説が随所に散りばめられ,医師として,人間としての豊富な経験,風格からにじみ出る文章は実に味わい深い.この第4版は,大きなサイズ(A4判)に改められ,大変読みやすくなっている.現代的にビジュアル感覚を重視し,ふんだんにカラー写真,漫画,イラストレーションが駆使されている.なかでも,江戸時代の肩脱臼整復図,ゼロポジションの解説に引用されている布袋像や絵画の美女,長頭腱と骨頭の動きを解説したロープウェイ写真などは,特に印象的である.また,カラー写真14枚による腱板修復術の手術所見などは,動画を見ているが如く臨場感があり美しい.
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