視座
手術について思うこと
松田 秀一
1
1京都大学大学院医学研究科感覚運動系外科学講座整形外科学
pp.3-4
発行日 2013年1月25日
Published Date 2013/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408102564
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整形外科医になったばかりの頃,「手術はX線をなおすものではない」と先輩方から繰り返し言われた記憶がある.確かに画像だけで手術を決めるのであれば,誰だってできる.理学所見を丁寧にとり,さまざまな鑑別疾患,疾患の進行度,現在までの治療,この患者が手術によって得られるもの,そして失うものを総合的に考えて判断すべきであり,それこそが整形外科医に求められるものであろう.
「手術は終わらなくてはならない.」当たり前だが,終わりのない手術はない.どんなに大変な手術でも終わらせなくてはならない.しかし,この手術は終わるのだろうか?と思うことが時にはある.手術というものは,最初の1-2時間は時間がゆっくり進んでいくが,その後はあっという間に時計の針が進んでいく気がする.だんだん作業/時間の効率が悪くなるのだろう.早い手術が必ずしもよいわけではないだろうが,だらだらとした手術は絶対によくない.術中の流れを術前にイメージできることはもちろんのこと,術中の困難な場合に直面した場合に多数の引き出しをもっていることが大切である.時には何とかまとめることも必要であろう.
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