Japanese
English
Lecture
肩関節に対する運動療法
Kinesitherapy of the Shoulder Joint
柴田 陽三
1
Yozo SHIBATA
1
1福岡大学筑紫病院整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Chikushi Hospital, Fukuoka University
キーワード:
肩関節
,
shoulder joint
,
運動療法
,
kinesitherapy
Keyword:
肩関節
,
shoulder joint
,
運動療法
,
kinesitherapy
pp.357-362
発行日 2012年4月25日
Published Date 2012/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408102317
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はじめに
肩関節は運動軸を3軸有する玉関節の1種であり,人体の関節の中で最大の可動域を有している.この大きな可動域を可能にするため,上腕骨頭に対して関節窩は浅く,狭い形状を呈している.こうしたことから骨性の支持が脆弱で,必然的に腱板が支持性を補足し,可動域と関節安定性という異なる機能をうまく調整している3,8,11).この腱板は棘上筋腱,棘下筋腱,小円筋腱,肩甲下筋腱の腱性部分で構成され,骨頭を関節窩に引き寄せることで動的な関節窩の役割を果たしている.また,上肢挙上運動は,肩甲上腕関節の動きと肩甲帯の動きの共同運動によってなされているために,腱板筋群が正常であっても,肩甲骨を体幹に固定・可動させる筋群の機能障害があると,正常な上肢の運動ができなくなる.肩関節の運動療法の対象となる筋群は,その機能から以下の3群で構成される.
1) 肩甲骨と上腕骨を連結する筋群;三角筋,棘上筋,棘下筋,小円筋,肩甲下筋.
2) 体幹と肩甲骨を連結する筋群;僧帽筋,大菱形筋,小菱形筋,肩甲挙筋,前鋸筋,小胸筋.
3) 体幹と上腕骨を連結する筋群;大胸筋,広背筋.
肩関節に対し運動療法を行う際にはこうした解剖学的特性を熟知し,どの関節や筋肉に対して施術を行っているのかを理解しておく必要がある.
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