連載 医者も知りたい【医者のはなし】・47
江戸中期の医師(2) 香川修庵(1683~1755)とその師・伊藤仁斎(1627~1705)(その1)
木村 專太郎
1
Sentaro Kimura
1
1木村専太郎クリニック
pp.848-851
発行日 2011年9月25日
Published Date 2011/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408102108
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■はじめに
今回は,第46回の後藤艮山の弟子・香川修庵とその儒学の師・伊藤仁斎について述べる.伊藤仁斎は医師ではないが,修庵を含め多くの医者たちが,仁斎とその一派の弟子たちに,多大な影響を受けている.また京都嵐山の和歌で名高い小倉山にある二尊院の墓地には,仁斎と修庵が隣合わせに仲良く眠っている.仁斎に大きな影響を受けた修庵は,儒学と医学の精神が「一本」であるとの信念から,号を「一本」と称し,自分の学問所に「一本堂」と名付けた.以上のような理由から,この二人をペアで書いてみたいと考えた.
香川修庵は,後藤艮山の下で医学を研鑽し,「古方派」医学台頭の礎を艮山とともに築き,修庵とその弟子である吉益東洞と山脇東洋たちが,さらにその発展に寄与した.後世の医師たちは,本邦最初に人体解剖に関与した山脇東洋を高く評価しているようで,修庵は残念ながら少々陰が薄いようである.
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