境界領域/知っておきたい
悪性骨・軟部腫瘍におけるホウ素中性子捕捉療法(BNCT)
藤本 卓也
1
,
鈴木 実
2
,
市川 秀喜
3
1兵庫県立がんセンター整形外科
2京都大学原子炉実験所
3神戸学院大学薬学部
pp.534-541
発行日 2011年6月25日
Published Date 2011/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408102014
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
近年の科学技術の発展は,悪性腫瘍に対する診断・治療技術にも様々な恩恵をもたらしている.優れた抗腫瘍効果を示す重粒子線などの粒子線による放射線療法もそのひとつであり,手術による切除が治療の基本となっている悪性骨・軟部腫瘍では,身体深部に発生した腫瘍を非侵襲的に加療できる唯一の手段となっている.また,複数の抗癌剤を用いた系統的な化学療法に加え,最近では腫瘍細胞に特異的に作用する分子標的治療薬を導入するなど悪性骨・軟部腫瘍の治療方法にはめざましい進歩がある.実際の臨床現場では腫瘍の発生部位とその組織学的特徴に応じて,これら3つの手術,放射線,および化学療法を駆使して治療が行われる.しかし,治療開始時にすでに遠隔転移を認める症例や,骨盤などの体幹部に発生した手術的に切除困難な腫瘍については,いまだ有効な治療法がなく予後も悪いため,さらなる新たな治療方法が求められているのが現状である.
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.