視座
Unable to Control
糸満 盛憲
1
1労働者健康福祉機構九州労災病院
pp.101
発行日 2011年2月25日
Published Date 2011/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101898
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山本 真教授を慕って九州から上京し,北里大学医学部で整形外科の研修を始めて,はや38年が過ぎ去った.振り返ると38年といえば我が人生の半分に相当する期間である.なんと長い間,北里大学にお世話になったことかと思う一方,矢のように飛び去ってしまったように感じられるのは決して錯覚などではない.山本教授は,教室のボスであると同時に,私にとっては尊敬する親父であった.
この間,教室の主な研究テーマであった関節外科,外傷外科,骨バンクと同種骨移植のいずれにも積極的に関与させてもらった.股関節外科では末期股関節症に対するBombelliの外反伸展骨切り術を手掛け,亜脱臼性股関節症の進展様式に対する考察から外反屈曲骨切り術を考案し,その理論と臨床成績,その作用機序などを組織学的,生体力学的な手法で明らかにしてきた.骨折の治療においては,ボスから引き継いだ髄内釘の改良,新たな視点に立った新しい鎖骨遠位端専用のプレートやtension band systemをデザインして,広く用いられているようになったのはこの上ない喜びである.大学人として充実した生活を送ってきたと思う.
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