書評
『整形外科専門医テキスト』―長野 昭,松下 隆,戸山芳昭,安田和則,石黒直樹●編集
菊地 臣一
1
1福島県立医科大学
pp.818
発行日 2010年9月25日
Published Date 2010/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101800
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今という時代,医療は未曾有の激動期のなかにある.そのなかで,われわれ医療人は,professionalismの発揮と,第三者にも理解・納得できる医療内容の説明責任を問われている.これら二つのことは,「医療の標準化による質の保証」という言葉でまとめることができる.患者や国民のこうした要望の背景に,国家財政の危機とともに,医療への不信感が存在していることにわれわれは留意しておく必要がある.
IT化は,手術実施率に地域差が存在し,その背景に科学的根拠の薄弱な適応や高額な画像機器の配置があることを立証した.同時に,医療がすべて科学的に立証された内容から構成されているわけではないことも明らかにされている.もっと言えば,将来,医療のすべてが,科学的立証が可能かどうかさえ疑問視されているのが現状である.
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