誌上シンポジウム 四肢のしびれ感
緒言
武者 芳朗
1
1東邦大学医学部整形外科学第2講座
pp.682
発行日 2010年8月25日
Published Date 2010/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101772
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
整形外科の日常診療では,疼痛性疾患とともに四肢のしびれを主訴とした患者を診る機会が多い.「しびれ」といっても,日本語の場合,感覚鈍麻hypesthesia,感覚過敏hyperesthesia,錯感覚paresthesia,異常感覚dysesthesiaに加え脱力(運動麻痺)さえも含まれることがある.「しびれ」という訴えが具体的にどのような状況を指しているのかは患者それぞれで異なるため,問診で殊に高齢者との会話からその人の表現する「しびれ」が神経学的には何を意味するのかを聞き出すのは容易ではない.脱力を伴っていれば脳卒中も疑われ,緊急性を要することから速やかに診断をつけねばならない.脊髄,神経根,末梢神経性の圧迫障害や炎症性,変性性疾患に至っても,その症候,身体での広がり方や時間的推移などから神経学的診断,さらに画像およびその他の補助診断で病巣が特定できれば,根本的な治療が成り立つ.
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.