最新基礎科学/知っておきたい
神経堤幹細胞を用いた移植研究―神経再生を目指して
名越 慈人
1
,
中村 雅也
1
,
岡野 栄之
2
,
戸山 芳昭
1
1慶應義塾大学医学部整形外科学
2慶應義塾大学医学部生理学
pp.688-691
発行日 2008年7月25日
Published Date 2008/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101324
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■はじめに
難治性神経疾患に対する細胞移植治療の有効性は,研究レベルにおいて多数報告されている.しかし,これらの研究で使用されている移植細胞の多くは胎児由来あるいは胚性幹細胞由来の神経幹細胞であり,倫理的な問題から臨床応用は難しい状況である.また骨髄や脂肪などの成体組織において,神経細胞を生み出す幹細胞が存在し,それらを用いた移植研究の報告が散見されるが,移植細胞自体の発生学的根拠が明らかでないことが多い.われわれは,成体幹細胞である神経堤幹細胞に着目して研究を進めてきた.神経堤幹細胞は,成体の自家組織から採取が可能であるため,安全性が高く,倫理的・免疫学的問題を克服できる可能性が高く,将来の臨床応用が期待されている.本稿では,神経堤幹細胞についての最近の知見を解説し,再生医療への応用について概説する.
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