書評
関節のMRI―福田国彦,杉本英治,上谷雅孝,江原 茂●編集
菊地 臣一
1
1福島県立医科大学附属病院・整形外科
pp.683
発行日 2007年7月25日
Published Date 2007/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101090
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この本を一読して,運動器の領域である関節の画像検査もMRIの出現によって,「ついにここまできたのか!」というのが私の想いです.一時代前の関節や脊髄造影で確定診断をしていた時代は,ある意味,これらの手技は名人芸でした.事実,脊椎・脊髄外科領域で頭頚移行部や脊髄髄内の病変描出は,当時は真に名人芸のレベルでした.造影検査が患者さんに与える苦痛も,決して少ないものではありませんでした.
診療現場へのMRIの導入は,最近における医療技術革新の最たるものの1つではないでしょうか.私は医師として長い間生きてきて,診療現場にこれほどの革命をもたらした機器は今までにないと言えます.従来の整形外科領域の画像診断は,「影」をみていたと言ってよいと思います.すなわち,形態学的評価が主たる診断価値でした.これに対して,MRIはあらゆる部位や組織の描出を可能にしました.さらに,MRIは形態とともに組織それ自体の変化をも描出してくれます.患者さんにとっての侵襲もないか,あっても軽度で,しかも読み手側に以前と比べたら比較にならないほど大きな情報を与えてくれます.例えば,骨軟部腫瘍の評価では,形態のみならず,組織性状の描出,関節外科では軟骨病変は勿論のこと,骨内病変や軟部組織の変化を読み取れます.
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