書評
―杉本元信 編 瓜田純久・中西員茂・島田長人・徳田安春 編集協力―臨床推論ダイアローグ
本村 和久
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1沖縄県立中部病院プライマリケア・総合内科
pp.2108
発行日 2011年12月10日
Published Date 2011/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402105717
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表題の通り,病歴,身体所見から診断に迫る臨床推論の醍醐味を満喫できる名著である.難易度の低いものから,高いものの順に全部で40症例,どの症例も興味深い.東邦大学医療センター大森病院での経験をベースに書かれているとのことだが,臓器別ではない,診療科を超えた疾患のバラエティー,15歳から94歳までという年齢の幅,さまざまな垣根を取り払った総合診療の実践の素晴らしさを読んで実感できる.
1例1例は明快な症例提示で始まり,さらに臨床推論→確定診断と小気味よく,研修医と指導医の対話形式で展開していく.その議論はわかりやすく病態に迫るもので,重篤な疾患の見落としがないように,慎重に鑑別診断を絞っていくさまは,指導医の思考過程そのものであり,臨床推論のまさに生きた教科書であると感じた.
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