外科医に必要な皮膚科common diseaseの知識・5
ホクロ,メラノーマ
斎田 俊明
1
Toshiaki SAIDA
1
1信州大学医学部皮膚科
pp.1382-1383
発行日 2001年10月20日
Published Date 2001/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407905330
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疾患の概念
1.ホクロとは
ホクロは小型の黒色調の皮膚病変を指す俗語であり,漢字では「黒子」と表記される.「黒子」という文字は中国の漢書や日本の奈良時代の計帳(徴税のための台帳)にも見出され,古くから上述のような意味で使われていた.他方,黒子は皮膚科学の用語としては「こくし」と読まれ,欧米の1entigoの訳語として使われている.lentigoは語源的にlentil(レンズ豆:径4mm程度の凸レンズ状形態の黒褐色の豆)に由来する.古くから洋の東西を問わず,これらの用語はほぼ同一のものを指していたらしいことがわかる1).
図1に黒子(lentigo)の定型像を示したが,このような黒子のほとんどは後天性色素細胞母斑であるとみなされる(小型の先天性色素細胞母斑も少数含む).筆者は黒子などの小型の色素細胞母斑は真の母斑(皮膚の限局性の組織奇形)ではなく,表皮メラノサイト(メラニン色素産生細胞)の良性腫瘍であると考えている1).
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